ご案内

交叉咬合は乳歯の歯並びから生じます。
放置しておいて永久歯の交叉咬合に移行してあごの発育時期を迎えると、発育はかたよって、顔貌が非対称になり、一生を通じての重大な問題がおこります。
お母さんのチェックポイント乳歯の時期に正面からチェックをして、上下の前歯の中心線が一致しているかどうかを確認しましょう。
中心線が一致していたら問題はありません。
もしずれていれば、次に奥歯を観察してください。
奥歯の噛みあわせが正常ならば、噛みあった上あごの歯と下あごの歯では、上の歯が下の歯を必ず蓋のようにおおっています。
中心線がずれていると、その奥歯の噛みあわせが反対になっているはずです。
ここで怖いことがあります。
乳臼歯の交叉咬合があると、上下の前歯部の中心線は一致せず、あごは曲がっています。
六歳のときに第一大臼歯が生えてくると、生体は曲がったあごを正しい噛みあわせと勘違いして、上下の第一大臼歯が噛みあうようになります。
そして、一〇歳後半から一一歳に、乳臼歯が小臼歯に交換すると、乳臼歯期では交叉咬合であった状態が、永久歯の小臼歯では一見正常な咬合になってしまいます。
見た目の奥歯の噛みあわせは正常なのに、あごだけ曲がって、顔がずれてしまうのです。
お母さんは遅くともお子さんの乳臼歯のある時期に、臼歯が交叉咬合になっていないかどうかの確認をしてください。
どうして交叉咬合になったのでしょう。
交叉咬合のおこる原因としては、外力と成長の問題が考えられます。
子どもたちがお絵かきをしたりしているときに、下あごを腕で横に押しつけていることがあります。
この外力があとに作用して、あごを変形させたり、あとの成長をかたよらせたりします。
呼吸や舌など、口の行動や運動によってもあごの変形が生じることもあります。
上あごの骨はいろいろな骨が重なってできあがっています。
噛む刺激が足りずに、下あごと上あごの発育にアンバランスが生じると、その結果上顎骨が下顎骨より小さくなり、あごがずれることがあります。
上あごが萎縮して小さくなっているのですから、装置を使って上あごを側方に拡げてあげれば、早く治療は終わります。
放置するからいろいろな問題もおこってきます。
様子をみていると、あごの関節がずれたり、筋肉の形が変わってあごが変形したり、大変なことになります。
写真1 お絵かきは楽しいお遊びです。
一生懸命に描いているので、上あごをいつの簡にか机に押しつけています。
その結果、恐ろしいことがおこります。
写真2 上あごを押しつけた結果として、奥歯の噛みあわせが逆になってしまいました。
交叉咬合といって、奥歯の反対咬合です。
あごが曲がってしまいます。
やがて顔は左にずれていき、取り返しのつかないことになります。
噛みあわせが反対ですから、よく噛めません。
写真3 反対側の噛みあわせは正常です。
写真4 別のお子さんですが、前歯も奥歯も噛みあわせが反対です。
食事にも支障がでるほどのひどい機能障害になっています。
でも本人は気づいていません。
お母さんは「食べるのが遅い子で」と言い訳をしています。
このままでは上あごに良い憾む刺激を与えることはできません。
早く治療をして、良い頗に育成すべきです。
症例O初期の臼歯の交叉咬合です。
前歯の中心線(正中線)がずれています(写真O−1)。
当然、顔もずれています。
ずれがおこった原因を考えてみましょう。
右の奥歯の噛みあわせが反対になっています(写真O−2)。
そのために、噛みあわせると下あごが右にずれてしまいます。
左側の奥歯は正常な噛みあわせです(写真O‐3)。
上あごが萎縮しているのが原因です。
上あごと下あごの大きさが違うので、下あごが曲がって噛んでいるのです。
歯だけの問題ではありません。
顔が萎縮しているのです。
レントゲンで下あごの形を見ると、左右の骨の形が非対称になっています。
この状態で放置しておくと、曲がったままで顔が成長してしまいます。
治療方法は、上あごを側方に拡げます(写真O‐4)。
あごの拡大は一つの装置で終了しました(写真O−5)。
五カ月の拡大であごのずれは解消しました(写真O−6)。
顔の形が完成する前だと短期間で治療は終了します。
大人になると曲がった顔に成長しますから、外科的治療が必要になる場合が多くなります。
怖い話です。
奥歯はしっかり噛んでいます。
次は開肢の治療に移ります。
問題点を一つ一つ治療していきます。
※初診時五歳二カ月の女子。
治療期間五カ月。
症例P様子をみていて、あごが曲がってしまったケースです。
前の症例より重症の症例です。
正中・あご・顔とすべてにずれがおこっています(写真P‐1)。
前歯の奥歯も交叉咬合です。
様子をみていて、このまま成人になったら曲がった顔で一生過ごさなくてはなりません。
奥歯は臼歯といいます。
臼歯は食べ物を横にすりつぶすことが仕事です。
このケースのように前歯が重なっていれば、下あごを横に動かすことはできません。
つまり、前歯の交叉咬合とは奥歯で噛むことができない機能障害の状態です。
正常の奥歯の噛みあわせでは下の歯を上の歯がおおっているので、噛んだ食べ物は舌側に多く落ちるようにできています。
奥歯の交叉咬合は噛みあわせが反対になっているために、噛んだ食べ物の多くは頬側に落ちてしまいます。
歯列の不正は見た目の問題だけでなく、機能の問題でもあるのです。
機能不全があれば、骨の発育に弊害が生じるのは当然の結果です。
上あごの前歯が重なっているのですから、床装置で前歯を後ろから押します(写真P‐2)。
前歯は簡単に動きました。
下あごが右側にずれていますから、床装置で正しい位置に下あごを修正します(写真P‐3)。
床装置にプラスチックの板を足して噛みあわせを変えるのです(写真P14、5)。
上下のあごの位置が一致しました(写真P16)。
奥歯と前歯がしっかり噛むようになったら治療は終了です(写真P‐7、8)。
※初診時八歳三カ月の女子。
治療期間一年。
過蓋咬合―咬みあわせが著しく深い状態をいいます。
上あごの前歯が下あごの前歯の三分の一から四分の一をおおっているのが正常な噛みあわせです。
これよりも噛みあわせが著しく深い状態を過蓋咬合といいます。
出っ歯とも深い関連性をもっています。
厚生省は一二歳〜二〇歳で噛みあわせが四ミリ以上ある人が二八・三二%もいると報告しています。
開咬の約一〇%に比べると三倍も多い状況です。
歯を支えている歯槽骨の発育不足であったり、あごの関節の位置が後方に位置していたり、下あごが後退しているケースもあります。
虫歯で奥歯がなくなり、噛みあわせが深くなっているのか、あるいは下あごの前歯が伸びたり、唇の力で下あごの前歯が内側に傾斜したりして、上あごの前歯の噛みあわせが深くなったのか、どちらかを判断するのはむずかしいのです。
どちらが原因であっても、上下の噛みあわせのバランスがくずれて深くなっています。
過蓋咬合は特に下あごの後退したアングルの二級に多く見られます。
下のイラストを見てください。
下唇の力で上の前歯を押します(イラスト@)。
その結果、下の前歯は内側に押され、噛みこんでしまって過蓋咬合になっていきます(イラストA)。
下あごの先端に「梅干し」をつくるオトガイ筋の作用で下あごが後ろに押されることも過蓋咬合になる一つの原因と考えられています。
治療としては、あごの関節の位置を前方に修正したり、噛む筋肉の位置の習慣を変える必要があります。
つまり無意識で噛んでいる位置を変える必要がでてきます。
お母さんのチェックポイント前歯で噛み切れない、パスタやピザの食べ方がおかしい、と感じていませんか。
ひどい場合は下あごの前歯が上あごの歯肉に食いこんでいるケースもあります。

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