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鍵からの重大な予告!

もはや新規客獲得や市場シェアのための戦略計画の面影は見出せない。
近年、市場シェアから顧客シェアへ、顧客の生涯価値追求、顧客満足型経営、カスタマー・インティマシー、アフターマーケティング論、ワン・トゥ・ワン・マーケティング、セグメント・ワン戦略、共別価値づくり、戦略同盟等々のトピックスが強調されているが、これらはすべて新しいパラダイムとしての関係性マーケティングの台頭を示すものである。
しかも、前記のデータ的発見からも示唆されるように、この動きは、過去にしばしばありがちだったムード的ないしファッション的なマーケティング・トピックスではなく、現実的な成果に裏打ちされた、現代マーケティングの新しい思考枠組みだと考えられるのである。
関係性という概念は古くから商業のなかで強調されてきた。
そこでは関係性が長期志向性、信頼性、連帯性、依存性などと同義に使われ、良い取引関係ができれば取引当事者双方にとって高い価値創造やメリットにつながると考えられてきた。
しかし、近代社会のなかで生産者主導型のビジネスや取引が中心になると、大量生産処理のためのマス・マーケットを狙う合理的、標準的なマス・マーケティングが中心となり、個別対応の人間くさい関係性概念は次第に影が薄くなっていく。
ところが、今日、その合理的、標準的なマス・マーケティングの有効性が減じ、いくつかの限界が露呈し始めたことで、再び新しい装いのもとでの商業的な関係性概念が注目を浴びるようになったのである。
一般に、われわれが関係性(relationship)という言葉を使うとき、そこには無味乾燥・無色透明な関係とは異なる精神面や能力面が付加されている。
たとえば、スポーツマンシップ、リーダーシップ、ホースマンシップなどのように「シップ」が付加されることによる関係性には、相互信頼によって生ずる崇高なスピリッツや精神的卓越性が示唆されている。
つまり関係性とは、価値ある良き信頼関係をいかに継続、強化、発展させて事業の将来価値をつくるかという杵の力なのである。
マーケティング分野で関係性が語られるとき、しばしばパートナーシップないしパートナリング(partnering)と互換的に用いられるが、そこでも、自分と相手の卓越性を合わせることによって、より高いシナジー効果をもつ共創価値づくりが期待されている。
マーケティングにおける関係性は、広くはマーケティング活動に何らかの関わりをもつ利害者すべてに対応するものから、より直接的な購買者ないし顧客だけに対応するものまで、かなり幅広い範囲をもっている。
たとえば、モーガンとハントは、マーケティングの関係性を、供給パートナー(仕入業者、サービス提供業者)、潜在パートナー(競争者、非営利組織、政府)、購買パートナー(最終顧客、中間流通業者)、組織内パートナー(機能部門、事業単位、従業員)という四つの主要パートナー・カテゴリーとそれぞれを構成する一〇の利害関係者(右の括弧内の主体者)との関係的交換と捉え、これらのすべての関係における、信頼とコミットメントを中心としたネットワーク関係の確立、強化、維持に向けた関係性マーケティングの重要性を主張する。
確かに、あらゆる利害関係者との関係強化を考えることは、今日の複雑なビジネス社会においては必要な態度であろう。
しかし、同じ関係性でも、その怪格は、組織内部者、競争者などとの関係性と、直接購買者との関係性とでは、やや異質なものになる。
関係性概念をあまり1般的、包括的にして意味を暖味にしないために、ここではマーケティングの直接対象たる購買パートナーとの関係性に限定して論ずるが、この限定化は、同時に、長期的顧客満足による固定客づくりとしての関係性構築とも1貫性をもつものである。
関係性マーケティングの範囲を購買パートナーに限定した場合でも、さらに、どのようなマーケティング分野で関係性が重視されるかが問題となる。
これまでの研究では、関係性マーケティングが大きな意味をもつ分野は、産業財分野、サービス財分野、流通チャネル分野が中心であった。
しかし、近年は消費財分野においても関係性マーケティングがますます重要になる傾向を示している。
産業財、サービス財、消費財、流通チャネル分野のいかんにかかわらず、関係性の基本要件は、「問いかけ可能性(addressabi)」だとされる。
問いかけ可能性とは、関係性を構築しょうとする相辛(パートナー)の名前や住所(所在)が直接(ダイレクトに)明確に把握でき、個別対応できる可能性を指す。
具体的には、顧客リストとしてデータベース化されることである。
産業財、サービス財、流通チャネルの分野では従来から高い問いかけ可能性が存在したが、消費財分野でも近年は顧客データベース化や会員化が多様な方法で進みつつあり、関係性マーケティングの可能性がいっそう高まっている。
そのような意味で、データベース・マーケティング、ダイレクト・マーケティングと、関係性マーケティングは、その強調の置き方と主要対象分野において微妙な差異をもつものの、基本的には同じ土俵上の問題として捉えることができる。
では、このような関係性が、なぜ、いま、これほどまでにマーケティング分野で強調されるようになったのであろうか。
第1は、豊かな社会が進展し、市場のニーズや欲求がますます高度化、不透明化して、先が読みにくくて取引の安定性を高めようということになる。
第二は、多くの企業の売上げ構成が、パレートの法則として指摘されるように、上位二〇%ほどのヘビー・ユーザー層で売上げ全体の八〇%近くをあげることが多いという一般的傾向による。
とすれば、このヘビー・ユーザー層と強い安定的な長期関係を結ぶことによって八〇%の売上げが安定的に得られることになる。
そして、残りの「浮動票」的顧客をさらに次の努力で取り込んでいくなら、マーケティング活動はかなり効率的になっていく。
第三は、商品の増幅化の傾向である。
顧客ニーズの高度化に応じ、商品も単なる性能や機能だけで売れるものではなく、メンテナンス、保証、アフターサービス、その他周辺ソフトの提供といった商品の増幅部分が購買上で重視され、その結果、顧客との継続的、長期的な関係が不可欠となっている。
設備機器、エレクトロニクス商品、耐久消費財、住宅など購入後のアフターフォローが必要な分野では、再購買や関連サービス購買の促進にとって関係性マネジメントが有力な手段となる。
第四は、商品ライフサイクルの短縮化傾向である。
顧客の噂好変化や技術革新が激しい分野では商品の陳腐化が早まってくる。
その傾向への企業側の対応は、顧客との間に直接、安定的な取引関係を築くことで顧客確保と安定成長をはかることである。
モノを売るより関係性やヒトをつくるという発想である。
第五は、ビジネスにおけるサービス比率の上昇傾向である。
社会の豊かさは無形のサービス・ニーズを高め、物財でもサービス要素の比率が高まってくる。
周知のように、サービスは生産と消費が同時的で在庫コントロールがむずかしいため、顧客との安定的な協力関係が特に重要になる。
そして、以上のような関係性強化の要請を可能ならしめた最大の要因は、コンピュータを中心とする情報処理技術の発達である。
今日、この情報処理技術とそれを支える情報インブラストラクチャによって、顧客データベースが大量、安価、高速で構築、処理できるようになり、関係性を幅広く正確につくり上げることが可能になっている。

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